ダブルダッチ初心者のためのデモ作り

目次

  1. はじめに
  2. デモは映画制作と似ている(デモ構成)
  3. 地図のない航海は漂流に等しい(デモ作成の心得)
  4. 「守・破・離」という考え方(デモ真似)
  5. 効率よく行い、足切りのラインも決めておく(デモ練習)
  6. デモ見せを行いフィードバックをもらう(デモ精錬)
  7. いつも以上を目指さない(デモ本番)

はじめに

ダブルダッチには競技の側面とパフォーマンスの側面があると私は思う。
今回はパフォーマンスの方にフォーカスして考えてみよう。

~前提~

さて、ダブルダッチと出会ったあなたは初めて同年代とチームを組んで(もしくは組まされて)
大会に出ることになりました。

デモは映像制作と似ている

私の現役時代のコーチ曰く「デモは映画制作と似ている」という。

これは言い得て妙である。
例えば映画で言うと「起承転結」である。
これは物語の大枠の盛り上がりや展開を言い表すもので「物事の順序」を表している。
これを一文字ずつデモに置き換えると

  • 起…OP、メンバー紹介、テーマの提示
  • 承…起>承の落ち着き、上げるか下げるかはチームによる
  • 転…加速的にEDへ持っていく
  • 結…ED、クライマックス

となる。これらには入れる技の難易度が関係してくる。

①②③④⑤の難易度の技を持っていた場合このままの順序で入れても良いが、
大会で観客は自分のチームだけを見に来ているわけではない。
大きい大会になると自分のチームは100チームの中の1チームになってしまうため
「起」の部分で観客に「このデモ見たい」という気持ちにさせることが必要となる。

 となると⑤→①とすればいいかと言えばそういうわけではない。
「起」で獲得した興味は期待となる。
映画でもそうだが、「結」がつまらない映画を2度、3度見たいとは思わないだろう。
「結」は「起承転」を上回らなければならない。

 よって難易度は④①③②(または②③)⑤というようにすると
最初に観客を惹きつけておきつつ、最後までガッカリ感を与えない構成にすることができる。

地図のない航海は漂流に等しい

さて、デモの構成がわかったところで
実際にデモを作ると「何もできない」という錯覚に陥るほどにやりたいことが出来ない。
最初は経験者と大会に出たりする為、多少のカウントのずれなどは修正されてしまう。
また回す時にも相手が上手いとかなり楽に回すことができる。

今回は問題になるのが、「時間」である。
大会までは基礎練や曲編、様々なことに時間が取られる。
そこで必要なのは「地図」である。

迷っている時間もなければ寄り道できる技術もない。

地図の描き方は今度詳しく話すが、簡単に考えるなら

  1. 手持ちの武器(それぞれの得意技)をそろえる。
  2. 武器を起承転結に合わせて配置する。
  3. 曲を選定する。
  4. 練習日程を決める。
    (全員参加が好ましいが時間が惜しいのでパートを分けて練習を進める)
  5. デモ見せの日を設定して仮本番を行い、フィードバックをもらう。
  6. 本番までの調整、精錬。
  7. 本番

となる。

「守・破・離」という考え方

だが同じ熟練度の人とデモを行うのはとても難しいものとなるであろう。
そんな中で作るデモは圧倒的に制限が多くなる。

そんな中で作る際は「真似」が重要となる。
ダブルダッチをやっている先人全てを師匠として
技やデモを「真似する」ことが必要となります。
その際に「守破離」と言う考え方を推奨したい。

「守破離」は、日本での茶道、武道、芸術等における師弟関係のあり方の一つで
個人のスキル(作業遂行能力)を3段階のレベルで表している。

まずは師匠に言われたこと、型を「守る」ところから修行が始まる。
その後、その型を自分と照らし合わせて研究することにより

自分に合った、より良いと思われる型をつくることにより既存の型を「破る」。
最終的には師匠の型、そして自分自身が造り出した型の上に立脚した個人は、
自分自身と技についてよく理解しているため、
型から自由になり、型から「離れ」自在になることができる。

守:支援のもとに作業を遂行できる(半人前)。

   ~ 自律的に作業を遂行できる(1人前)。

破:作業を分析し改善・改良できる(1.5人前)。

離:新たな知識(技術)を開発できる(創造者)。

参考:Wikipedia

「守」から「破」に移行するには改善、改良が必要となる。
ちなみに「離」の部分はダブルダッチの評価項目「オリジナリティ」の部分へ
大きく影響を及ぼすものであるが、初心者には難しい。
はじめの一年程は「守」に徹することで回し方や飛び方に変なクセがつかず
その後のスムーズなダブルダッチ人生を送ることができるだろう。

効率よく行い、足切りのラインも決めておく

練習は効率よい行い方をしないと時間がいくらあっても足りません。

全員が出られる練習日を設定するくらいでは足りない時間を更に足りなくさせますので、

  • ハリーパートの6エイトだけ
  • アクロバットの通しからの流れだけ
  • 三倍の4エイトだけ
  • ダンスパートのダンスだけ

などパートごとに細かく分けて全員が集まれる際には
各パートの繋ぎの部分以外ではあまりミスが生じないようにしておくと
効率よい練習が出来るでしょう。

またパートごとに練習をしていると
「いつまでも出来ない」技が出てきます。

新しい挑戦をしているのだからある程度ミスを重ねることは織り込み済みでも、
ミスを解消できないようではパフォーマンスに入れることは出来ないです。

大会2か月前に成功率が7割を超えない技はまず入れられないと考えていいでしょう。
この技を無くすとなると代わりとなる技が必要になります。

なので私のおすすめは「簡単で発展しそうな技を入れ、それを難しくしていく」という
ビルドアップ型の構築方法です。
これであれば成功を担保しつつ難しさを上げていけます。

デモ見せを行いフィードバックをもらう

さてデモが完成したらフィードバックを貰う方が良いです。
ダブルダッチは自分が知らない、見たことのない技をやっていると思っていたが
先輩は既に知っていて、もっといいやり方をポンっと教えてくれるなんてことも。

フィードバックは大会まじかになってから集めると自身の首を絞めるので
身近な先輩には早めに。
ある程度距離のある仲いい人には2か月前に。
細かな修正が欲しい場合には1か月前に貰うと修正が間に合います。

経験上2週間前にフィードバックを求められるのが一番困ります。

フィードバックをもらうことで気合を入れて作った部分が「別に面白くないよ」と言われたり
「見えづらいからこうした方が良いよ」といった客観的な意見をもらうことが出来ます。

個人の趣味趣向もあるのであまり寄りかかりすぎてはいけませんが、
往々にして参考になるのでしっかり受け止めて、変更できる部分は反映していくと
良いデモに仕上がっていくと思います。

いつも以上を目指さない

ここまで緻密に作り練習してきたので当日に言えることは
「いつも以上を目指さない」ということです。

ダブルダッチはチームで行うので打合せ通り、
練習段階で出来たことしかできません。

ここで「より高く跳ぼう」「よりキレを出そう」などといった調整をすると
本番のプレッシャーで脳内に分泌された「アドレナリン」が悪さをして
空回りをおこしてしまいます。

なので
練習は本番の120%で行い、本番は練習の80%で行う
くらいの力の抜き方をするといいかもしれません。(経験則)

本番で泣きたくなかったら練習で本番以上に頑張ることです。

まとめ

いかがだったでしょう?

  1. デモは映画制作と似ている(デモ構成)
  2. 地図のない航海は漂流に等しい(デモ作成の心得)
  3. 「守・破・離」という考え方(デモ真似)
  4. 効率よく行い、足切りのラインも決めておく(デモ練習)
  5. デモ見せを行いフィードバックをもらう(デモ精錬)
  6. いつも以上を目指さない(デモ本番)

この6ステップを実践することで初めての舞台に立つには十分すぎる段取りが
学べたのではないでしょうか?

ちなみにこちらの記事は大会シーズンを想定していますが、
新たな技などを練習するのはオフシーズンの地味練なので
普段の不断の努力がよりクオリティの高いデモを作ることにつながります。

頑張りつつ、みんなで楽しくダブルダッチしていきましょう!